徒然の書

思い付くままを徒然に

メソポタミア文明

 
世界最古の文明と言われるメソポタミア文明はチグリス・ユーフラテス河に挟まれたオリエント世界で展開された。
この両河にはさまれた河口付近に住んでいた古代民族のシュメール人によって作り上げられた文明と言える。
多くの遺跡や多くの発掘品などによって、彼らは相当に高度な文化を持っていたことが知られている。
多くの文化的遺産はあるものの、彼らの人種的系譜と言うものは殆ど分かっていないという。
彼らは絵文字から発展させた独特の文字を使っていたが、これが楔形文字と言われるものである。
政治的、あるいは宗教的なものが他のすべてを圧倒していた、古代オリエントの世界で、シュメール人は芸術的あるいは文学的な感覚に優れた物語的作品を残している。
これがギルガメシュ叙事詩と言われるもので、粘土板に楔形文字で書かれたものが、現代に伝わっている。
シュメール人都市国家をつくるが、両大河にはさまれたメソポタミアでは大洪水が何度も起こり、その為都市の中心に人口の丘が作られている。
この大洪水の話は旧約聖書に云われるノアの方舟の物語に、都市の中心に作られた丘がバベルの塔の伝説に繋がっていく。
BC3000年頃にはシュメール人都市国家が形成されたが、シュメール人都市国家は部族間の絶え間ない争いのため衰え、アッカド人が都市国家を征服し、アッカド帝国が出現することになる。
シュメール人が勢力を回復してアッカド帝国を滅ぼし、ウル王朝が作られるが、この王朝も長続きせず、アムル人によってバビロンに古バビロニア王国が建国される。
アムル人の都市国家バビロン第6代王にハムラビが出て、後にメソポタミアに勢力を拡大しバビロニア帝国の王となる。
このハムラビが制定したのが世に名高いハムラビ法典である。
 
ハムラビ法典は目には目を、歯には歯をを規定した同害報復云々でよく知られた古い法典である。
この規定と聖書に書かれた同じ文言について書くつもりであったが、この法典についての書物がなかなか見当たらない。
ここから方針を変えて、ギルガメシュ叙事詩へ方向転換することにした。
旧約聖書の創世記に書かれたノアの方舟、実はこれがギルガメシュに書かれている大洪水の部分とそっくりなのである。
ノアの方舟創世記6-11~8-13で描かれているが、ギルガメシュ叙事詩に描かれたものと全くと言っていいほど酷似している。
ではどちらが早く書かれたかということになるのが、聖書のノアの方舟は5~6世紀頃に追記されたらしい。
 
一方シュメールのギルガメシュ叙事詩が書かれたのは、アッカドに滅ぼされる以前と推定される。
 
この大洪水はシュメールの粘土板に限らず、エジプトの聖書の中にも、インドのサンスクリット語古写本中にも太平洋諸民族の中にも、また南北アメリカ原住民の中にもみられるのである。
古代メキシコの古代文書の一つチマルポポーカ絵文書に次のような表現があるという。天が地に接近し、一日のうちにすべてのものが滅び去った。山もまた水の中に隠れた。
グアテマラのインデオ、キチエ族が持つポポル・ヴフと言う古文書にもこの異変が記されているという。
大洪水が起こった・・・・辺り一面暗くなり黒い色の雨が降り始めた。
雨は昼も夜もどしゃ降りに降った、・・・・・
 
この世界的規模の洪水伝説の中で特に注目に値するのは・・・・事件についての細目が驚くほど似ているということであるという。数千キロも数万キロも離れた処での出来事であるにも拘らず。
すべての場合に預言者ともいうべきものが現れて、来るべき大異変について警告を発しているということだという。
バビロンの国王についても、水の神が現れて警告を発して、云ったという。
自分の家を壊して船を造れ・・・・・船にはいろいろな動物を乗せるのを忘れてはいけない。
アステカの古写本の中でも神が現れて同じことを言っているという。
聖書でもこの様な使者が神の姿になって現れ、ノアに方舟を作る様に進めているらしい。
これらのものと同じように、インドの神ウィシューヌもまた人間の来たるべき災害に警告を発しているという。
もう一つの共通の特徴は警告を受けて命拾いをしたものは、必ず二人の人間、男と女であること。
この命拾いをした二人の人間がいろんな動物を連れているということであるという。
例えば聖書のノア、古代メキシコのナタ、インドのマヌさらにシュメール叙事詩ギルガメシュも同じである。
ただ、この失われた文明に書かれている洪水が、いつ起こったのか、時期を異にして起こったのか記されていない。
ただ、地球の反対側で洪水が起こった時には他方はそれ程の事もなかったと記されているのみである。
失われた文明    中山一郎訳        講談社現代新書による――――――
 
メソポタミア文明を育んだ、この両大河は大洪水に限らず、絶えず氾濫していたようである。
BC3000年頃からシュメール人都市国家が形成された。
そして、シュメール人都市国家は絶え間ない部族間の争いによって衰え、BC2300年頃、アッカド人のサルゴン都市国家を征服するまでの間にシュメールの楔形文字によってギルガメシュ叙事詩が書かれたと思われる。
その後、シュメールの文化や文字を受け継いだアッシリアバビロニアなどによって、追記されていったものであろう。
この様に見てくると、聖書のノアの方舟はシュメールのギルガメシュ叙事詩の11書板に書かれた大洪水をそっくり取り入れたものと見ざるを得ない様である。
 
メソポタミアの様に大河のないイスラエルで、シュメール人が体験した洪水など起こるはずもない。
様々な推測のシナリオを模索している人々もいるが、どんなシナリオを造ろうと、裏付ける史料がない限り、推測の上に推測を重ねるだけのものでしかない。
旧約の神ヤハウエーの残忍な性格を考えると、己を信じない人間を滅ぼすために、悪がはびこったなどの方便を述べたに過ぎなかろう。
その神の性格を熟知している、旧約の記述者が見つけた格好の史料がシュメールの大洪水の記述であった。
そのシュメールの説話をそっくりパクッた、と考える方が納得のいくものであろう。
端的に言えば、人間に対する脅迫以外の何物でもない。
この宗教ボケした記述者は本当に神と言うものが、それほど残忍無情な存在だと思っていたのだろう。
このモーゼ五書の記述者モーゼであれば、シナイ山で行われて神の殺戮も知っていた。
神の残忍な性格は十分に承知していた。
だから、すべての人間を抹殺するという神からの霊感をえても、何の抵抗も感じなかったであろう。
これが、シュメールの大洪水をパクッて、ノアの方舟を作り上げた、モーゼと言う男の非情さなのであろう。
旧約聖書と言うものの性格を如実に表していると言える。             ---続くーーー
 
 
参照文献
ギルガメシュ叙事詩      矢島文夫訳   ちくま学芸文庫
失われた文明     中山一郎訳   講談社現代新書
旧約聖書の謎     長谷川修一著  中公新書
 
 
 
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