メソポタミア文明
世界最古の文明と言われるメソポタミア文明はチグリス・ユーフラテス河に挟まれたオリエント世界で展開された。
この両河にはさまれた河口付近に住んでいた古代民族のシュメール人によって作り上げられた文明と言える。
多くの遺跡や多くの発掘品などによって、彼らは相当に高度な文化を持っていたことが知られている。
多くの文化的遺産はあるものの、彼らの人種的系譜と言うものは殆ど分かっていないという。
彼らは絵文字から発展させた独特の文字を使っていたが、これが楔形文字と言われるものである。
このハムラビが制定したのが世に名高いハムラビ法典である。
ハムラビ法典は目には目を、歯には歯をを規定した同害報復云々でよく知られた古い法典である。
この規定と聖書に書かれた同じ文言について書くつもりであったが、この法典についての書物がなかなか見当たらない。
ではどちらが早く書かれたかということになるのが、聖書のノアの方舟は5~6世紀頃に追記されたらしい。
古代メキシコの古代文書の一つチマルポポーカ絵文書に次のような表現があるという。天が地に接近し、一日のうちにすべてのものが滅び去った。山もまた水の中に隠れた。
グアテマラのインデオ、キチエ族が持つポポル・ヴフと言う古文書にもこの異変が記されているという。
大洪水が起こった・・・・辺り一面暗くなり黒い色の雨が降り始めた。
雨は昼も夜もどしゃ降りに降った、・・・・・
この世界的規模の洪水伝説の中で特に注目に値するのは・・・・事件についての細目が驚くほど似ているということであるという。数千キロも数万キロも離れた処での出来事であるにも拘らず。
すべての場合に預言者ともいうべきものが現れて、来るべき大異変について警告を発しているということだという。
バビロンの国王についても、水の神が現れて警告を発して、云ったという。
自分の家を壊して船を造れ・・・・・船にはいろいろな動物を乗せるのを忘れてはいけない。
アステカの古写本の中でも神が現れて同じことを言っているという。
聖書でもこの様な使者が神の姿になって現れ、ノアに方舟を作る様に進めているらしい。
これらのものと同じように、インドの神ウィシューヌもまた人間の来たるべき災害に警告を発しているという。
もう一つの共通の特徴は警告を受けて命拾いをしたものは、必ず二人の人間、男と女であること。
この命拾いをした二人の人間がいろんな動物を連れているということであるという。
ただ、この失われた文明に書かれている洪水が、いつ起こったのか、時期を異にして起こったのか記されていない。
ただ、地球の反対側で洪水が起こった時には他方はそれ程の事もなかったと記されているのみである。
メソポタミア文明を育んだ、この両大河は大洪水に限らず、絶えず氾濫していたようである。
そして、シュメール人の都市国家は絶え間ない部族間の争いによって衰え、BC2300年頃、アッカド人のサルゴンが都市国家を征服するまでの間にシュメールの楔形文字によってギルガメシュ叙事詩が書かれたと思われる。
様々な推測のシナリオを模索している人々もいるが、どんなシナリオを造ろうと、裏付ける史料がない限り、推測の上に推測を重ねるだけのものでしかない。
旧約の神ヤハウエーの残忍な性格を考えると、己を信じない人間を滅ぼすために、悪がはびこったなどの方便を述べたに過ぎなかろう。
その神の性格を熟知している、旧約の記述者が見つけた格好の史料がシュメールの大洪水の記述であった。
そのシュメールの説話をそっくりパクッた、と考える方が納得のいくものであろう。
端的に言えば、人間に対する脅迫以外の何物でもない。
この宗教ボケした記述者は本当に神と言うものが、それほど残忍無情な存在だと思っていたのだろう。
このモーゼ五書の記述者モーゼであれば、シナイ山で行われて神の殺戮も知っていた。
神の残忍な性格は十分に承知していた。
だから、すべての人間を抹殺するという神からの霊感をえても、何の抵抗も感じなかったであろう。
これが、シュメールの大洪水をパクッて、ノアの方舟を作り上げた、モーゼと言う男の非情さなのであろう。
参照文献
失われた文明 中山一郎訳 講談社現代新書
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