徒然の書

思い付くままを徒然に

魏志倭人伝で思う事 その弐

 
珍寿の記述は単なる資料による記述でしかなかっただろうから、所要日数などは単なる目安でしかなかろう。
全く新たな史料が現れるか、考古学的な事実によって,確実に証明できるのでなければ、異説、通説などといったところで、子供の喧嘩と全く変わりはない。
倭人条の記載事実がどれ程正確なものか、それを裏付けるものは何もない。
史書などと言うものはわが国の記紀に見る如く、いい加減出鱈目を書いても、後世に於いて後生大事に信奉するものもいるのだから、倭人伝に於いて少々の出鱈目が書かれていても、後世のものにとって、信じる者、信じない者論争の種は尽きないであろう。
例え倭人伝が全くの出鱈目であったとしても、三国志魏志に与える影響は全くなかったろう、有ったとしても取るに足らぬほどのものであったろう。
倭人伝など三国志の中では刺身のつまにさえならなかろう。
朝貢の遣り取りした品物尚についてはある程度信用は出来るだろうが、記紀に云われる様に真実の部分もあるという程度のものではなかろうか。
どの程度信用してもよいものやら、それを検証する史料がないのだから・・・・・
前にも書いたように、ある史学者に至っては、国体護持の思想に固執するあまり、九州説を固持し、何の根拠もなく里程の換算を一里を七十九メートル~九十メートだと決め付けてみたり、陸行一か月は一日の誤りだなどと・・・・全く根拠もなしに、もう滅茶苦茶と言うよりも、学者としての良識を逸した様な理由を述べている。
また方位についても、倭人伝の記載中、不弥国以降の南は東の誤りである、としたうえで、支那の古書が方向を言うとき、東と南と相兼ね、西と北と相兼ねるはその常例、などと言うに及んでは・・・・・これが我が国の学者と言われている人間の有様なのである。
確かに三国志魏志に限らず、いずれも写本で伝わったのだから写し違いは当然出るだろうが、それを前提にすると、三国志全体が信用のできない物に成り下がってしまう。
この三国志を書いたと言われる、陳寿は単にさまざまな史料を集め、使者などの報告書などから安易に創作したものなのだろうが、倭人条を重視していないとすれば、さほど気を入れて書いたとも思われない。
倭国を重視していたとすれば、使者などの報告書を微に入り細に渡って聞き出して記述していたであろう。
倭人の条などは陳寿の魏書の付け足しの一部でしかなかったのだろう。
様々な史料から作り出すだけの学識があったのか、倭人条については方位や里程、地理学的な素養まで当然要求されるが、その素養は・・・・・
船行一年などと言う文字も見えると、その常識が疑われるのである。
史料に依っているとはいえ、耳学問程度の知識で書かれたとしたら、それに振り回されている、我が国の学者は一体どうなるのだろうか。
いずれにしても、魏志倭人伝として、存在する以上参考できるところは取入れるのはいいが、自説に固守するあまり無理やりな読み方をすべき程の文献でもなかろう。
とは言っても我が国の史書と言われる書紀が当てにならない以上、何らかの外的史料を検分しなければならないのは何とも情けない限りである。
我が国に於ける考古学などの史料によって補足できる様になるまで・・・・
そうでなければ、検証不能の資料を基にして、我が国の歴史を考察しようなどは本末転倒も甚だしいと言わざるを得ない。
この三国志倭人条の記載がどれ程信用できるものか、それから検証することが必要であろう。
我が国の出鱈目な記紀を検証するために、正確とは言えない倭人伝を使うしかないとは何とも情けない。
これは偏に天武による帝記や本辞の改竄と、その後豪族などに差し出させた国記の資料を廃棄しまったことが真実を見出す道を閉ざしてしまった。
少なくとも六世紀以前の資料は殆ど残されていないと思わざるを得ない。
日本書紀の編纂などは、藤原一族のためだけの都合を考慮し、改竄された資料による編纂事業に依るものと言っていいのだろう。
己の一族さえよければ他は如何でもよいという、藤原一族の傲岸不遜なものの考え方がわが国を不幸にした、という人もいる。
それぞれの地方やその他の豪族の差し出した国記などを改ざんするとしても、その改竄前の資料が残されていればもっと違った国史が出来たろうにと思う。
記紀自身の中にも改作、変形されたものの中にも多く含まれている、綿密に調べることにより、変形以前の元の資料を復元することも不可能ではないと、前向きに考える史学者もいるが、果たして本当に復元されたものなのかどうか判断は難しい。
 
参考文献
魏志倭人伝の謎を解く                渡邊義浩著                      中公新書
魏志倭人伝                                 石原道博編訳                  岩波文庫
日本神話と古代国家                    植木次郎著                  講談社学術文庫
 
 
 
 
咲いた順に並べてあるのではない。
次に何が出てくるか、意外性のほうを重視した。
 
 

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