徒然の書

思い付くままを徒然に

ギリシャ神話に少しは興味を持ったかな・・・・パンドラの壷

 
この頃、時間があると古本屋に出かけることが多い。
今頃の古本屋と言っても、学生の頃入り浸ったあのカビ臭い、独特の臭気のある本屋とはまるで違う。
文庫本や新書版が主力ではあるが、単行本や色んな種類の本もかなり揃えている。
先日、面白い題名の文庫本に出合った。
著者は阿刀田高と言う作家であるが、名前は以前から知ってはいたが、この人の本はいまだ読んだことが無い。
この著者の本は随分並んでいたが、その中に、ギリシャ神話を知っていますか、と題されたものがあった。
今までいくつかの神話は知ってはいたが、ギリシャ神話としてはまとめて読んだことはない。
興味に惹かれて、ページをめくっている内に、パンドラの壺、の神話が載っていた。
パンドラの箱って聞いたことがある。
絶対あけてはいけないと言って渡された箱で、災いが詰まっているんだったなと思って読み始めたら、実に面白い。
この著者、神話そのものを載せるだけでなく、色んな余談を交えて、話を進めている。
プロメテウスと言う名前は、以前聞いたことがあるのだが、エピテメウスと言う名前は聞いたことが無い。
この名前、プロローグとエピローグに対応するらしい。
本の前書きはプロローグ、あとがき結末の部分はエピローグと言うのはよく知られている。
如何やらこの二人の名前からきていると言うのだそうである。
プロメテウスは考える人と言う意味を含んでいると言う。
プロは前、エピは後を意味するらしい。
と言うことはプロメテウスは前に考え、エピテウスは後で考える人らしい。
プロメテウスは先に考える、先見の明、エピメテウスは物事は終わった後で考えても意味がない、下司の後知恵と云うのだそうである。
面白い、この様な書き方は読んでいても実に楽しい。
 
エピテウスの処へパンドラが壺を持ってやってくる。
このパンドラ、途方もなく美しい生き物だそうである。
それはそうだろう、人間に似せてゼウスが作らせた泥人形っだが、色んな神々が、それぞれの得意なものをすべて教え込んで作った女と言う生き物なのだから・・・・
このパンドラ、神の世界で様々な神から、色んなことを教え込まれたが、特に愛の技法を授かって地上に降りてきた、カマトトみたいな女。
地上に初めて女と言う生き物が現れた。
次から随分と面白い筆致で、話が進む。
エピテウスにしても、女と言う生き物初めて目にするのだから戸惑ったであろう。
この神話の時代、初めての女と言っても、男と女することは何ら変わりはない。エピテウスとパンドラ随分と楽しんだことだろう。
ある日、エピテウスの留守中に、パンドラは開けてはいけない、壺のふたを開けてしまう。
壺の中から怪しげなものが飛び出し周囲を埋めたと言う。
慌ててふたを閉めたが、殆どが飛び出し壺の中には僅かに取り留めたものがあったと言う。
それが希望であると言うが、飛び出したものは病気、悪い、戦争、嫉妬、災害、暴力、ありとあらゆる悪の根源であったと書いている。
 
それまでの地上には何一つ邪悪なものはなかった。
人間たちはいとも穏やかに、幸福に暮らしていた。
壺から飛び出した悪の根源が飛び散ってしまった以上、もうこれを取り押さえることは出来ない。
ただ一つかろうじて希望だけが残った。
 
数々の不幸にさいなまれながらも、私たちが希望だけをよりどころとして、生きていけるのはこのためなのだと、ギリシャ神話は教えてくれている。
著者はそのように解釈したいらしい。
 
此処からが、面白く私の興味を引いた箇所なのである。
これからの事を書きたくて、惚けて、記憶力が落ちてしまった頭で、必死になって覚えてきた部分である。
以下記してみよう。
 
もう一つパンドラの壺と共に私の心に昇って来るのは・・・・まことに突飛な連想に過ぎないのだが・・・・・・衆議院の解散の風景だ。
議事堂の大会議場で解散が宣言され、金バッジの先生たちは、一斉に全国の選挙区に飛び散る。
皮肉な見方をすれば、あれこそ現代のパンドラの壺ではないのか。
選挙運動の最中に、幾多の密約が交わされ、利権の絡んだ取引が闇から闇へと飛ぶ。
諸悪の根源がばら撒かれ、私たち選挙民に残されるのは、かろうじて 少しは良くなるのじゃあるまいか という希望だけ。
違うだろうか。と結んでいる。
著者の言うように、将にパンドラの壺と言うべきか・・・・
 
国会議事堂という壷の解散という蓋を開けたその瞬間、悪の根源が全国に飛び散ったと解釈していいのだろうか・・・・・私はそのように思うのだが・・・・
 
我が国の人々に、プロメテウスの様に先見の明があれば、今頃はもっとましな国になっていたかもしれない。
エピテウスの様な下司の後知恵では、後悔だけが残るのであろう。
今からでも遅くはない、ゼウスの神が我が国の人々に、プロメテウスの様な知恵を授けてくれることを願うばかりである。
 
 
 
 
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