徒然の書

思い付くままを徒然に

はなしょうぶ

 
梅雨空に美しく咲いた花菖蒲。
もうそろそろ見頃も過ぎて、終焉を迎えようとしている頃・・・・
花の美しさも見頃を過ぎると哀れを誘う・・・・・
花の命は短くて・・・・と詠った詩人もいるように・・・・・・
と画に入れる説明を、ここまで書いてきて、ふとこの
花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき
と詠った林芙美子について書いてみたくなった。
読む人もない駄文ではあるが・・・・・・・
 
物心ついたころからの貧しかった生い立ちからか、底辺の生活を強いられた人々を慈しむように描いた作品が多いのは己の辿りし生きざまを赤裸々に描いた結果なのであろう・・・・・心の優しさを持ち合わせた彼女の文才が描いた実体験、それは将に生々しさと心の優しさが慈しみとなって表された・・・・・そんな気がしてならない。
 
彼女の放浪記…将に彼女は短い人生を放浪したのだろう。
この放浪記は一言で評すれば、貧乏、孤独、裏切られるものの人生の物語といってもよいだろう。
これほど赤裸々に貧乏を描いて、貧乏と言うものを実感させる文章は未だ過って読んだことがない。
 
私はどんな書物であれ最低でも十回は読む。
だが、放浪記はどれほど読んだろうか・・・・恐らく両手指では足らないだろう。
子供の頃からの読書量には引けを取らない私でも、彼女の読書量は驚くばかりである。
貧乏に苛まれ、孤独に打ちひしがれた彼女は本を読むことでそれを紛らわせていたのだろうか、彼女の読破した書物のおびただしさには驚かされる。
彼女の作品には数多くの作家や詩人の名前や作品の名が記されている。
日本の作家・詩人たちの名は言うに及ばず、外国の作家などトルストイゲーテをはじめ、覚えきれないくらい出てくる。
過って売れなかった時代は売り込みに苦労したのだろうが、人間とは勝手なもので、人気作家となるや、冷たかったその出版社からの執筆依頼が激増したことは想像に余りある。
その過労が病を引き起こし、人生五十年を地で行くがごとく、短い生涯を閉じた。
将に苦しきことのみ多かりき人生であったのかも知れない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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