徒然の書

思い付くままを徒然に

愛の女神 ヴィーナス

 
愛の女神と言うとすぐに思い浮かべるのがヴィーナス。
ヴィーナスと言えばすぐに思い浮かべるのがミロのヴィーナス。
ロス島で発見され、フランスルーヴル美術館に持ち込まれたヴィーナスは、制作がBC二世紀と比較的新しく、男好みに仕上げられたものであるらしい。
これよりもっと古い年代のものもある様だが、これは単純な像であるという。
ヴィーナスはローマ神話ではウェヌスと呼ぶようだが、これを英語読みにしたものがヴィーナスである。
このヴィーナス、愛の女神と呼ばれるが、その女神の持つ機能は豊穣と生殖をもたらす力を持つ女神である。
このヴィーナスはギリシャ神話ではアプロディテーと呼ばれる女神で、その出生には諸説があるらしい。
一説はゼウスとディオネの間に生まれた娘・・・・これでは面白くもない。
キュティレイアはキュティーラ即ち女神の意味で、アプロディテの尊称の一つであるが、ペロポネソス半島南端のマレア岬沖の島を指すらしい。
なぜこんなことを書くかと言うと女神の出生に関わりがあるからで、この女神の出生が実に面白い。
この女神、ゼウスなどよりはるかに早く生を受けているのだが、古い時代の事、現代の様な戸籍簿があるわけでもない。
正確な事は判らないが、それが神話の神話たる由縁。
ヘシオドス(ヘシオドスは紀元前700年頃のギリシャ叙事詩人)の神統記によると、アプロディテはクロノスにより切断され、海中に投ぜられたウラノスの陽根の回りに立った泡のなかから生まれて、この島に流れ着き、それからキプロス島へ行ったのだという。
この出生は神話としての面白さがあり、アプロディテの女神としての力の機能が頷けるような気がする。
ただ、この女神の力もアテナ、アルテミス、ヘスティアの三人の女神には通用しなかったようである。
アプロディテはこの三人の女神の心を操ることは出来なかった。
この神統記はギリシャ神話の原初から(旧約聖書の創世記に書かれた様な)、混沌すなわちカオスから世界の創造、神々の系譜を三代にわたっての政権交代の模様を書き記して、ギリシャ神話の宇宙観の原典とされている。
この三人の女神以外の、その他の神はアプロディテを逃れる術を持ち合わせてはいなかった。
もっとも偉大な力を持ち、雷霆を操るゼウスですら女神は判断を狂わすことが出来、いとも簡単に人間の女と交わらせることが出来た。
ヴィーナスの誕生の絵画などに見られる様に、貝の中であったり、海の波間の上であったり、この説の誕生の方がよほどにうなずける様である。
この出自を見ると、ゼウスなどよりはるかに古い女神なのである。
このアプロディテがギリシャの神話に取り込まれてからは、ゼウスによってへパイストスと結婚させられてしまう。
このへパイストスはとても多くの特技を持つ神ではあったが、わけありの神で、この女神には気に入らなかったのであろう、すぐに不倫してしまう。
この時代、神も人間も、男と女の関係は随分と自由であったらしい。
とは言っても、妻を寝取られて黙っている男はいない。
この不倫について、へパイトスが復讐をする話や、ホーメロスのアプロディテ賛歌に見るような人間との不倫の話など、この女神とても話題の豊富な女神の様である。
此処でギリシャ神話の物語を書いてもとても歓迎されないだろう。
 
 
参照資料            ギリシャ神話の悪女たち                                        三枝和子
                  ホーメロス賛歌ギリシャ神話                                形山秀雄ほか訳
 
 
 
 
 
 
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